クロスバイクの選び方

ブレーキの種類と操作方法

クロスバイクのブレーキには大きく分けて4つの種類があります。それぞれに特徴があり、止まりやすさや制動力も異なっています。ここではブレーキの操作方法と種類を紹介します。

ブレーキの種類と操作方法

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ブレーキの種類と特徴

自転車の制動機構はホイール側面をそのままゴムで挟み、その摩擦力で回転を止めるタイプが一般的。とはいえハブ付近にローターを設け、それを挟むディスクタイプのクロスバイクも以前比べて増えてきています。ブレーキによって履けるタイヤの太さも変わりますので注意しましょう。

種類 制動力 コスト メンテナンス性
カンティレバーブレーキ
Vブレーキ
ディスクブレーキ
キャリパーブレーキ

カンティレバーブレーキ

「片持ち式の梁」の意味をもつカンティレバー。その形状が似ていることからカンティレバーブレーキと名付けられたブレーキです。

Vブレーキの原型となった昔ながらの方式で、構造はシンプルで軽く、ワイヤーをフックから外すだけで開放でき、タイヤクリアランスが広く取れ、太いタイヤでも対応でき、さらに泥詰まりに強いことからMTBなどさまざまな自転車に採用され、今でもシクロクロス系モデルに用いられています。

一方で、制動力を上げるためにアームを伸ばした場合、左右への張り出しが大きくなってしまうのが弱点。

該当モデル例

  • GT SPEEDBALL

Vブレーキ

Vブレーキ

ほとんどのクロスバイクが採用しているVブレーキ。Vブレーキが開発されるまでは、カンティレバーブレーキが主流でした。ただし、カンティレバーブレーキは制動力の問題のほかに、ブレーキを引くために本体の上に張られたアーチワイヤーがあるために、MTBのような極太タイヤを使うとクリアランスが確保しづらいのが欠点をもっていました。

そこでシマノが開発したのがアームが真上に伸びたVブレーキです。現在ではカンティレバーブレーキのほとんどがVブレーキに置き換わっており、多くのクロスバイクがこのブレーキを採用し、子供用自転車にも使われています。というのも、高い制動力を持つだけでなく、軽量、低コスト、メンテナンスもしやすいという多くの特長を持っているからなのです。

さらにタイヤとのクリアランスが広いため、泥詰まりが起きにくく太いタイヤも履けます。ちなみに、ブレーキ取り付け台座はカンティブレーキと互換性アリ。

該当モデル例

  • GIANT ESCAPE R3
  • GIANT ESCAPE AIR
  • BIANCH ROMA3
  • cannondale QUICK4
  • SPECIALIZED SIRRUS SPORT

ディスクブレーキ

ディスクブレーキ

制動力が最も高いのがディスクブレーキです。元々はMTBのダウンヒルモデル用に開発されたもので、現在cannondale BAD BOY 4やSCOTT SPORTSTER 20などのクロスバイクで採用されています。メンテナンスが楽な機械式ディスクブレーキと強い制動力の油圧式ディスクブレーキの2タイプがあります。

制動方法はハブに取り付けられたブレーキディスク(ブレーキローター)を、ブレーキパッドで挟み込んで制動させます。リムから離れたところにブレーキがあり、泥や水の影響を受けにくいので、天候や路面状況を問わず、常に優れた制動力を確保できるのが特長。

また、ブレーキでリムが摩耗しないので、ブレーキシューの交換は不要です。一方の弱点は、構成パーツが重く、全体重量がどうしても上がってしまうところと、ローターが入っていない状態でレバーを引くとパッドが落ちやすいこと

該当モデル例

  • BIANCH ROMA CARBON FORK
  • LOUIS GANEAU LGS-TR LITE R
  • SCOTT SPORTSTER 20
  • cannondale BAD BOY 4

キャリパーブレーキ

キャリパーブレーキ

ロードバイクのほとんどで採用されているキャリパーブレーキ。重量は軽く小型、制動力もVブレーキほどではありませんが、コントロール性が高くレース向けのロードバイクにぴったりのブレーキといえます。

クロスバイクでもロードバイクのコンポーネントのSORAや105を装備しているモデルは主にキャリパーブレーキを採用しています(BIANCH ROMA CARBON FORKのようにTIAGRAなのにディスクブレーキというモデルもあります)。

昔はカンティブレーキのように左右に分かれたアームを真ん中で引く「センタープル式」が主流だったのですが、現在の主流は制動力の向上と、左右のブレーキシューへの入力バランスを均等にするために左右のアーチの作動軸を独立させた「デュアルピボット式」になっています。

構造上タイヤクリアランスが狭く、履けるタイヤのサイズが限定され、太いタイヤが使いづらいのが弱点です。

該当モデル例

  • GIOS AMPIO
  • PINARELLO TREVISO
  • LOUIS GANEAU LGS-RSR4

ブレーキの操作方法

まずはじめに知っておきたいこととしては、前ブレーキが自転車を止める役割で、後ブレーキがスピードの調整と、前後のブレーキによって役割が違うということです。

自転車を止めるのは前ブレーキがメイン

クロスバイクはブレーキの前後を使い分けて走ります。制動力は前輪にブレーキをかけたときのほうが大きいので、自転車を止めるのは前ブレーキがメインで使い、後ブレーキがサブで使います。

といっても、このことを知らなくても自転車をとめることができるのは右手が効き手の人がほとんどなので、意識せず握力のある右手で前ブレーキを握っているからです。

後ブレーキだけだとロックしやすく滑りやすくなる

後輪はブレーキ時には車輪が回転しない状態になるので、後ブレーキだけだと自転車がスリップしてしまうことが多くなります。一方で、前ブレーキだけを強くかけると前輪が固定されて後輪が浮き上がり、転倒のリスクが高まります。ブレーキをかける場合は、片側だけではなく、必ず両方のブレーキをかけるようにしましょう

ジャックナイフ現象

クロスバイクによく使われているディスクブレーキやVブレーキは、制動力が強力なブレーキです。そのため、前ブレーキを強く握ると後輪が浮いてしまうジャックナイフ現象が起きることがあります。クロスバイクに慣れるまでは全力でブレーキングすることは避けたほうが無難です。

ブレーキのコツ

ブレーキ時にはほんの少しだけ前ブレーキを強めに握るようにすれば、両輪ともにロックされることなく安全に止まれます。

走行中のスピード調整は、後ブレーキを活用します。前ブレーキの強さはハンドル操作にも影響があるので、スピードを調整する場合は転倒する危険度が少ない後ろブレーキを中心に、こまめに行ないましょう。

安全に注意して徐々に減速するのが基本

信号などで止まる場合は、30m~50m手前から前ブレーキを使って徐々に減速します。15m~20m手前でゆっくりになってからいったん減速を止め、5m~10m手前で前ブレーキを中心にかけて停止します。

周りの状況によく注意しながら安全に走行し、危険性の高い急ブレーキはできるだけ避けるようにしましょう。

ハンドルの握り方

ハンドルの握り方

ハンドルは強く握らず、両肘を軽くまげて路面からの振動を体に伝えないようにすると、体への負担が少なくなり疲れにくくなります。逆に強く握ると上半身に力が入り、ブレーキやハンドル操作が鈍くなります。

街中ではブレーキに人差し指と中指をかけ、薬指と小指でグリップを握り、いつでもブレーキができる状態にしておきましょう。

クロスバイクのハンドルはロードバイクのドロップハンドルに比べ、ポジションを変えにくいため、肩が凝ったり腕や腰が疲れることが弱点。

エクステンションバーを取りつけるといろいろなポジションをとることができるので、疲れにくくなります。クロスバイクでロングライドを考えている人は検討してみては。

エクステンションバー